りんごがふたつ

遊びと絵本と、ときどきモンテ

【小学校】頑張る日本、楽しむオーストラリア

オーストラリアから日本に引っ越してきて、早一年。

子ども達も、幼稚園と小学校に通って一年が経ちました。

 

ふたつの国で暮らしてみて感じた、小学校の違いを書いてみようと思います。

 

「頑張る」の一言

学校初日に校門の前に立っていた校長先生。登校してくる生徒達に声掛けをしていました。

「さあ、頑張ってね。」

 

なんて事のない声掛けに、オーストラリアから来たばかりだった私は違和感を感じたのです。

 

頑張る、って何を頑張るの?学校に行くこと?

 

オーストラリアだったら、きっと”Have fun at school!” ”Enjoy!” って感じでしょうか。

 

「頑張る」と言う言葉に、オーストラリアでのんびり暮らしていた私はドキッとし、「頑張ることが美徳」の国に戻ってきたな、と思った瞬間でした。

縄跳びの試練

学校が始まって数ヶ月が経ったある日、学校から帰ってきた8歳ひめが泣き出しました。

 

聞いてみると、「縄跳びチャレンジ」と言うイベントがあって、「みんなで大縄を飛ぶのだけど、自分だけ何にもできない。もう学校行きたくない!」と大号泣。

 

なんて日本らしいイベントなんだ、と思いながらも、「みんなは一年生の時から練習してるでしょ。ひめは何回練習したの?初めてならできないのは当たり前。縄跳び買ってあげるから、練習しよう。」といい、大縄と一人用の縄跳びを大急ぎで購入しました。

 

放課後に近くの公園に行って大縄を練習していると、違う学年の子や、クラスメートが近寄ってきたので、一緒にすることに。他の子が飛んでるのを真似して、2週間くらいすると飛べるようになってきました。

 

できるようになってくると、体育の授業も苦でなくなり、「縄跳び楽しい」と言うようになりました。

 

今回は、無事できるようになって、本人も「練習すればできるようになる」と言う成功体験を得ることができたので良かったのですが、個人でチャレンジさせるのではなく、集団でチャレンジさせることで、子どもへのプレッシャーはより強いな、と感じました。

 

ただ、集団ですることで、「団体行動を身につけさせる」「みんなでできるようになる喜びを味わう」と言う大事なことを経験できるのは、とても良いと思います。

 

私は練習に付き合ってあげる時間と余裕があったけど、一人で対処しなければならなくて、辛い思いをしている子もいるだろうな、と思った縄跳びの試練でした。

給食の時間

日本に来る前、一番楽しみにしていたのが「給食」だったひめ。今も、給食を楽しみにしていますが、気になることが二つあります。

 

一つ目は、完食したらもらえるご褒美シール。

ひめはあまり好き嫌いもなく、たくさん食べるので、たくさんご褒美シールをもらってきます。でも、全部食べれない子は貰えません。すごく少食で、一度も完食をしたことのないお友達は、一度もシールを貰えてないそうです。

 

胃の大きさは努力では変えれませんよね。

 

二つ目は、完食するまでご馳走様ができないこと。

全部食べきれない子は、チャイムがなるまで、お膳を下げられないそうです。もう食べられないのに、チャイムがなるまで、椅子に座ってただ待っているのだそう。

 

盛り付けの時に、自己申告で量を減らしたり、増やしたりはできるそうですが、どうしても苦手で食べれないこともあるし、そもそも全部を完食できない子もたくさんいるようです。

 

日本の給食文化は素晴らしいと思うし、残飯を残さないと言うのは大切なことだとは思うけど、目標を達成することに躍起になって、食事をするだけなのに、プレッシャーを与えるのはどうなのか、と思います。

 

食べることにまで「頑張れ」と言う給食の時間。もっと「楽しい」だけの時間にしてあげてほしいです。

水泳の授業

学校の水泳を指折り数え楽しみにしていたひめですが、水泳授業があった日、家に帰ってくると「全然楽しくなかった!!」とプンスカ怒っていました。

 

聞いてみると、泳ぐ時間はほぼなく、水の中で歩いたり、壁際でバタ足をしていたそう。

 

オーストラリアの水泳授業では、自由に泳ぐ時間もあったし、泳ぎも上手になって帰ってきていたので、日本の水泳授業に若干びっくりしたのですが、よくよく聞くと、生徒と先生の割合が違いすぎて、更にびっくり。

 

オーストラリアでは、6人の生徒に1人の外部コーチがつき、グループで練習していたそう。それ以外にも、担任の先生やアシスタントティーチャーが二人、プールサイドで見ていたそうです。

 

日本では、90人ほどの生徒に、5人の先生。それは、泳がせれないですよね。水泳授業をなくしてほしいとは思わないけど、学校プールでの死亡事故なども多々起きているので、正直、子どもを預けるのが不安でしょうがないです。

「頑張る」が多い

日本の小学校に来てから、チャレンジすることが増えたひめ。縄跳び、跳び箱、鍵盤ハーモニカなど、これまで経験がないことも、できるようになることを求められるので、頑張って練習していました。

 

そうして、頑張ったおかげで、できることが増え「できた!」と言う達成感もあるようです。

 

「頑張る」と言うのは、悪いことではないと思うのです。

 

ただ、日本に来てから「学校が楽しくない」と言うことが増え、毎日のように「行きたくない」と言っていました。

 

「頑張る」と言う経験をさせてもらえて、良かったな、と思う反面、「楽しい」ももっと味あわせてあげてほしいな、と日本の小学校に期待してしまいます。

 

先生によって違う

日本生活二年目が始まって数ヶ月。三年生になったひめは先生が変わりました。

 

これまでの厳しい先生と違い、とても優しい先生だそう。教室にはトランプゲームやルービックキューブを置いてくれ、雨の日など、校庭が使えない日は使えるそうです。

 

担任の先生が変わってから、毎日「学校が楽しい」といい笑顔で通っています。

 

給食の完食に関するルールもなくなり、気持ちよく食べることができているようです。

 

日本とオーストラリアの違いというよりも、先生の違いが大きいのかも知れません。

 

楽しいだけの行事が少ない

集団行動や規律が多い日本でしか学べないことも多々あり、どちらの学校も経験することができている我が家の子どもたちは、とても恵まれていると思います。

 

一年を通して感じたのは、クレイジーヘアデー、パジャマデー、スーパーヒーローデー、ディスコデー、カラーランなど、ただ楽しいだけの行事が多いオーストラリアと比べると、運動会、学芸会、マラソンなど何か成果を得ることを目標としている学校行事が日本は多いと思います。

 

※オーストラリアの行事は募金を募るものも多いです。集めたお金を使って、学校や幼稚園の施設を充実させるのに使っています。学期休み中に滑り台を増やしたり、遊び場を作ってくれていて、すぐに反映されるので、イベントのやりがいがあります。

 

正直「できることが増えて良かったな」と感じる反面、一年中ずっと緊張感があって、頑張ることが多くて疲れるな、とも感じました。

 

先生にも生徒にももっと「楽しい」だけの気楽な時間があったら、学校に行くのが楽しみになるのにな、と思ったの日本の小学校でした。