ある秋の日、みかんの木の葉に茶色と白のしましまの幼虫を見つけた5歳ひめ。
「育ててみたい!」というので、お家に連れて帰りました。
翌日、同じみかんの木の葉に卵がついているのを発見!
もしかして同じ幼虫になるかも知れないと、一緒に観察することにしました。
孵化
家にあった小さな容器にみかんの枝を入れ、ラップをして竹串で穴を開けました。
少しでも新鮮な葉を保てるように、「劇落ちくん」を小さく切り、水で濡らし、ラップをしたものに枝を挿しています。
卵を家の中に持ち帰った翌日、
中から、体長0.4mmの、小さな小さな幼虫が出てきました。
子ども達は卵から孵った幼虫に「エルサ」、最初に見つけた幼虫に「アナ」と名づけました。
その後、もうひとつ卵を見つけ、孵った幼虫には「クリストフ」と名付けました。
幼虫
幼虫達は毎日葉っぱをむしゃむしゃ食べ、脱皮を繰り返しながら、どんどん大きくなっていきます。
ちなみに、これは、Orchard Swallowtail Butterfly(オーチャードアゲハチョウ)というオーストラリアのクロアゲハの幼虫です。
この白と茶色のシマシマ模様は、鳥のフンに似せて、鳥に食べられるのを避けているそうです。
脱皮
脱皮をする前日は、頭を下に向け、じっとしてあまり動かなくなります。葉っぱもほとんど食べません。
脱皮直後は顔が白いのですが、数時間経つと黒くなります。
最後はおしりをブンブン振って皮を脱ぎます。
脱皮を始めてから終わるまでは45秒。
3歳ぽぽと一緒に一回だけその瞬間を見ることができました。
脱皮した後の皮は食べてしまうので、数時間すると跡形もなく消えてしまいますが、顔は硬いからか食べずに残ります。
2度目の脱皮と3度目の脱皮の時の顔を取っておき、サイズを比較してみました。
脱皮を終えた青虫はとにかくよく食べる!!
小さな頃は1日2〜3枚。
大きくなってくると1日5〜6枚食べます。
ついに我が家の鉢植えみかんの木の葉っぱは3枚になってしまいました。
急遽、親戚宅にお邪魔して、レモンの木から葉っぱをもらってきました。
同じみかんの葉っぱしか食べないのでは?と心配していましたが、同じ柑橘類であるレモンの葉でも大丈夫だったようです。
ちなみに、葉っぱを取ってくる時は、殺虫剤のかかっていない木からとってくるように要注意です。
およそ3週間で、0.4mm から 5.5mm まで成長しました。
アナの死
エルサとクリストフは順調に成長していましたが、アナだけは途中から成長しなくなったので、自然の環境に戻そうと、みかんの木に戻してあげました。
でも、食べる力はなくほぼ動かなくなってから数日後、体から黒い液体を出して亡くなってしまいました。
亡骸を土に埋めたひめ。
「死ぬ=亡くなる、つまり、いなくなる」だと思っていたようで、
数時間後に「本当にいなくなったか見てみる!」と掘り起こしていました。
昨年、大好きなおばあちゃんが亡くなったときに、「死」については理解をしているようでしたが、「亡骸」については衝撃が強すぎるかなと思ってぼやかして話していたので、やっぱりちゃんと解っていなかったようです。
蛹化
幼虫達が最終形態に近い幼虫になってきた頃、中サイズの虫かごを購入し移し替えました。
フンもどんどん大きくなってきました。
潰すとこんな感じ。
葉っぱしか食べてないので汚くないし、臭くありません。
と思っていたら、まさかの下痢!
お腹を壊したと思い心配していたら、サナギになる態勢に入ったエルサ。
下痢はサナギになる前のサインだそうです。
この態勢になったら、動かしてはいけません。さなぎになるまでは絶対に触らないようにしましょう。
翌朝にはすっかりサナギになっていました。
だんだん茶色くなってきました。
エルサがサナギになってから数日後、クリストフも下痢をしたあと、サナギになりました。
この前蛹の姿になってから、24時間後くらいにサナギになるそうです。
エルサの時は見逃してしまったので、真夜中まで起きて、蛹化の様子を観察してみることにしました。
じーーーーっと待つこと数時間。
色がどんどん変わってきます。
身体を伸ばしたり、縮めたり。
夜中3時頃に、ようやく蛹化が始まりました。
8分ほどかかって皮を脱ぎ、この姿に。
まるで陣痛の苦しみを見ているかのように、必死で動く幼虫を見ていると、ひめの出産の時を思い出してしまいました。
最後は、力を振り絞って、抜いだ皮を振り落とします。
蛹化の瞬間は動画に収めることができたので、インスタにアップしています。
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この時、クリストフの蛹化が始まるのを待つのに時間がありすぎたので、エルサの成長を「はらぺこあおむし」風に動画にまとめてみました。
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サナギになる時に残した頭です。
羽化
エルサの羽化
すっかりサナギにのことを忘れかけたある朝、虫かごのなかに綺麗な蝶々がいるのを見つけたひめ。
「ママ、蝶々がいる!」
エルサがサナギになって、ちょうど2週間目でした。
最初はシワシワだったけど、徐々に羽が乾いてきました。
表側の方はちょっぴり地味な模様です。
エルサは雄だったようです。
この日は学校に遅刻して行くことにして、蝶々になったエルサのスケッチをしました。
子ども達が書いた絵です。
この後、しばらく待っても飛んでいかないので、学校に蝶をもっていくことにしました。
オフィスの方に遅刻理由を話すと「素敵な理由ね。」と言ってもらえました。
教室に入り、みんなの前で羽化した蝶を見せながら発表したひめ。
とっても誇らしげで、見ていて嬉しくなりました。
クリストフの羽化
さなぎになってから13日目の夕方。
茶色から、少し色が変わってきました。
翌朝。
朝日が昇ってから、1〜2時間で羽化することが多いという蝶。
家族みんなで待っていると、身体が透けて見え、だんだん黒くなってきました。
羽化が始まりました!
うぅ、感動✨
羽を乾かさなくてはいけないのをわかっているのか、すぐに枝の上の方に上り、足でしっかりとつかみました。
クリストフは雌だったようで、エルサよりも鮮やかな模様をしています。
3〜4時間ほど乾くのを待った後、外に出すと飛んでいきました。
この時の様子も動画にまとめています。
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自然は美しい✨
私自身も卵から蝶々を育てたのは初めてだったので本当に良い経験になりました。
ミニ絵本とアクティビティ
子ども達が好きな時に、写真を見れるように、エルサとクリストフの成長をミニ絵本に残しました。
ひめが自分で読めるように、一部に振り仮名を振っています。
A4用紙に印刷して、カットした後、糊で貼り付けただけの簡単なものですが、無料でDLできるので、良かったらお使いください。
同じpdfに、ライフサイクルアクティビティも入っています。
ただ切って貼るだけですが、3歳ぽぽが楽しんで作っていました。
以上が、「蝶の一生」まとめでした。
今では、同じ種類の蝶をみるたびに、「あっ、エルサ!」と言う子ども達。
自然の不思議、自然の美しさを感じられる、素敵な体験になったかなと思います。
エルサとクリストフが旅立ってから、数ヶ月。
長くなってしまいましたが、ようやくまとめることができてスッキリしました。